先日3月19日(火)にて「マツコの知らない世界」にて「かゆみの世界」が放送されました。
画像:Tver
元々マツコ・デラックスさんが大好きなのでこの番組も毎週欠かさずに見ていましたが、
まさか「かゆみ」というキーワードで特集が組まれるとは思いませんでした。
毎日かゆみに苦しめられているアトピーの私ですが、
今回放送された「かゆみの特集」で勉強になったこと、そして「これはどうなの!?」と思うところもあったので感想としてまとめたいと思います。
- マツコの知らない世界「かゆみの世界」で放送された内容とは?
- 「かゆみの世界」が炎上?サリチル酸やステロイドについて皮膚科医からの注意喚起が多発
- マツコの知らない「かゆみの世界」を長年かゆいアトピーの私が見た感想
- まとめ:「かゆみの世界」は勉強になるが注意すべき点もあり…!
マツコの知らない世界「かゆみの世界」はTverでまだ見られます!
⇒内容はこちら!
マツコの知らない世界「かゆみの世界」で放送された内容とは?
ゲストは順天堂かゆみ研究センターの高森先生。
かゆみ研究センターという組織が存在するのは初めて知りました!
かゆみ研究センターのサイトはこちら
こちらは研究機関がメインなのかなと思っていたのですが、HPを見ると順天堂大学浦安病院の皮膚科で診察も受け付けているようです。
(ゲストで登場された高森先生の診察らしいです。)
紹介状が必要とのことですので、誰でも受けられるわけではなさそうですが、お近くの方は知っておくと良いかもしれません。
今回のかゆみの世界は下記の内容を進められました。
①かゆみの研究は遅れていた?かゆみ研究の歴史
②かゆみとは何なのか?かゆみのメカニズムを解説
③肌が乾燥するとなぜかゆくなる?
④健康な肌のためには保湿が重要!
⑤あなたのかゆみ対応力は?
どんな内容が放送されたのかご紹介します!
「かゆみの世界」の内容① かゆみの研究は遅れていた?かゆみ研究の歴史
日本でかゆみ研究センターが設立されたのは2019年ということでかゆみの研究は痛みに比べてかなり遅れていました。
かゆみの研究がなかなか進まなかった理由としては
「かゆみ」=「痛みの弱いもの」と誤解されていたから
と高森先生は語っています。
かゆみとは痛みの一種と捉えられていたそうでなかなか研究が進まず、
本格的に研究されるようになったのは2000年頃とかなり最近のことなんだそうです。
もっと前からアトピーさんたちはかゆくて仕方なくしんどかったというのに。。。
そんな中、ドイツの医師が「かゆみだけを伝える神経」を発見し、かゆみの研究が進んでいったとのこと。
かゆみによる経済的損失はなんと月に4690億円というデータもあるそうで、
かゆくて勉学や仕事に集中できなかったり、睡眠不足で生産性が落ちたりと大きな影響があることも研究が進められるきっかけになったと言われています。
それは当事者としてはとてもよくわかる。。
この「かゆみによる経済的損失」について興味があったので、テレビを見た後厚生労働省のHPで調べてみたのですが、2009年に算出したとされるデータは見つかりませんでした。
厚労省からのデータとしては京都府立医科大学皮膚科の医師が書かれた「アトピー性皮膚炎について」のPDFの中に(当時の厚労省大臣に提出している資料の一部のようです)
ドイツの調査では、アトピー性皮膚炎の治療や労働生産性の障害による経済損失は、年間15~35億ユーロ(約2,000~4,600億円)と報告されている (Wollenberg A, Br J Dermatol 2008)
と書かれていました。
もう少し調べてみてわかれば更新しようと思います!
「かゆみの世界」の内容② かゆみとは何なのか?かゆみのメカニズムを解説
そもそも私たちはなぜかゆみを感じるのか?かゆみとは何なのか?
かゆみを感じる人体のメカニズムについても詳しく解説してくれています。
(テキストベースでわかりづらくてすみません)
皮膚の真皮の下にかゆみ神経が存在しており、かゆみ刺激があるとかゆみ神経が反応するというのがかゆくなるメカニズムです。
外からのかゆみ刺激があると、脊髄から脳に伝達し、「かゆい」と認識し、
身体に「異物を取り除くアラーム」が起こり、かゆみが起こると言われています。
また、驚いたのは内臓の病気がかゆみを引き起こすケースもあるそうで、
胃がん・肝疾患・糖尿病などはかゆみが発生することもあるそうです。
まさか病気もかゆみを引き起こすとは思いませんでした!これは目からうろこの情報です。
「かゆみの世界」の内容③ 肌が乾燥するとなぜかゆくなる?
今の時期は肌が乾燥し、かゆみが引き起こされやすいですが、
その原因も高森先生が世界で初めて原因を突き止めたそうです。
その理由とは、「乾燥した皮膚はかゆみ神経が皮膚の上の部分に伸びてくるから」というもの。
健康な皮膚であれば水分が十分で「セマフォリン3A」というたんぱく質がかゆみ神経が伸びないように抑えてくれておりかゆみを感じづらくなります。
乾燥した皮膚では水分が少なくなり、「セマフォリン3A」が減り、NGFという因子が広がり、かゆみ神経が皮膚の上部に伸びてしまい、少しの刺激でもかゆみを感じやすくなります。
健康な肌の人は細胞間に隙間がないため、水分が逃げないのですが、
乾燥した人の肌はスキマだらけのため水分が逃げてしまいます。
実際にそれぞれの肌の状態を拡大した断面図を見せて下さいながら解説してくれました。
乾燥した人の肌は「地割れした田んぼ」とマツコさんも表現していましたが、
ガサガサの状態はかなりひび割れており、状態が良くないんだなと改めて感じさせました。。
アトピーさんで湿疹が出ている時は特にひどいでしょうね。
「かゆみの世界」の内容④ 健康な肌のためには保湿!
「保湿剤を塗り、細胞の隙間を防ぐことが大切」なため、
健康的な肌を作るためには保湿が重要だと合わせて紹介されました。
「クリームよりも軟膏がいい」という先生に対して
マツコさんが先生に「ドラッグストアで売っているやつだったら何塗っておけばいいですか?」と問いかけたところ
先生は「私がよく使うのはワセリン」という回答でした。
下記番組での会話を文字で起こしたものです。
マツコさん「ワセリンでいいんですか!」
先生「サリチル酸ワセリンとか」
⇒テレビの左下にサリチル酸ワセリンの画像が登場
マツコさん「楽屋にいる誰かメモっておいて!」
先生「それにステロイドちょっと混ぜておくとすごく効果あります」
マツコさん「ステロイドはどうやって混ぜるんですか?」
先生「薬局でやってくれます」
マツコさん「薬局ってそんなことやってくれるの?お医者さんに処方箋書いてもらえばいいのね」
マツコさん「チューブでとかでステロイド配合しているのありますけどあんなのじゃ量足りないんですね」
先生「そうですね、すぐなくなっちゃう」
マツコさん「ガバっと使わないとね」
先生「私も乾燥してかゆいんですよ。背中とか。なので夜塗ってます。べっとりと。
薬としては原則としてベットリ塗ることが大事なんです。日本人はサーとしか塗らないから。」
マツコさん「べたべた塗ります」
⇒ここでVTRとなり、ナレーターとテロップで
「保湿剤は入浴直後に塗るのがおすすめ」と紹介されました。
※あくまでも私が聞こえた内容を多少意訳して記載しておりますのでご了承ください。
保湿剤のトークは以上でした。
SNSの意見の中では先生は「保湿剤にはワセリン、と言おうとしていただけでサリチル酸ワセリンとは言ってないのではないか」という声もありましたが、
私が何回か聞き直した結果も「保湿にはサリチル酸ワセリン」と言っていたように思います。
後述もしますが、ステロイドについても保湿の一環で使う(しかもベットリと)という意味の発言は脱ステ経験者としてはちょっと怖いと感じる内容でした。
「かゆみの世界」の内容⑤ あなたのかゆみ対応力は?
次に髙森先生からの4つのYes/Noの質問に対してマツコさんが回答していきます。
質問の答えと合わせて先生がかゆくならないような対策などを教えて下さいました。
質問1 肌のためにできるだけ紫外線を浴びないようにしている
⇒答えはNo
「かゆみに対しては紫外線は重要」とのことで紫外線はなるべく避けない方が良いそうです。
紫外線を当てるとかゆみ神経を下に押し戻す効果があり、かゆみを感じにくくなるそうです。
病院でも紫外線療法を行っているというところもあり、私もアトピー仲間やフォロワーさんが通っていると聞いたことがあります。
質問2 かゆい時でもできるだけかかないようにガマンするタイプだ
⇒答えはNo
かゆいときに我慢するのはストレスのため、なるべく我慢しない方がよいとのこと。
「かけばかゆみは止まる」
「なでるようにかけば問題がない」
とおっしゃってましたが、まあそれが難しいですよね。。
かゆい時にはボリボリ皮膚をえぐるように爪を立てて掻いてしまうもの。。
かゆみ当事者としてはそれだけでは我慢できないと感じるコメントでした。
また、氷で冷やすことも痛み神経が優先され、かゆみが停まるので効果的と紹介されていました。
質問3 お風呂は湯船に長く浸かるタイプだ
⇒答えはNo
長湯をすると皮膚の表面にある脂が溶けだしてしまい、乾燥肌になってしまうため長いお風呂は避けた方がよいとおっしゃっていました。
高温なほど脂が溶けだしやすくなるそうなので、熱いお風呂も注意です。
洗いすぎも皮膚(角層)を傷つけるためやめたほうがよいとのことでした。
質問4 花粉の時期は毎日しっかり顔を洗う
⇒答えはNo
花粉は顔に表面につくだけなのでごしごし洗う必要はありません。
ぬるま湯でさらっと洗うくらいで良いとのことでした。
「かゆみの世界」が炎上?サリチル酸やステロイドについて皮膚科医からの注意喚起が多発
アトピーさんだけではなく、乾燥肌で悩む人にとって気になるかゆみの問題ですが、
放送後かなり反響があったようです。
特に私もいちばん気になった「おすすめの保湿はサリチル酸ワセリンとステロイドを混ぜて使う」という発言です。
X(旧Twitter)では多くの皮膚科の先生や有識者たちが「この方法は長期的に使うものではない」と注意喚起をしているポストが多くありました。
#マツコの知らない世界 による「全身の保湿にはサリチル酸ワセリンとステロイド!」との推奨は危険です…… https://t.co/SvZOBKD2Jo
— 静岡皮膚科(2024年3月開業/静岡駅徒歩3分)院長 江畑慧 (@shizuoka_doctor) 2024年3月20日
また、一般のユーザーからも疑問の声が上がっています。
サリチル酸ワセリンに関して怖すぎ💦
— ぽにょ@乳がん HBOC BRCA2 (@seikei_ponyo) 2024年3月20日
3月19日TBS「マツコの知らない世界」
「サリチル酸ワセリンを保湿剤として使うことをおすすめする」
「サリチル酸ワセリンとステロイドを混合して処方する」
J大学の関連病院の先生…ピーリングに使うサリチル酸×ワセリンも怖いけどステロイドだと?アホか😇
#マツコの知らない世界#かゆみの世界
— あおい@アトピーを克服したいおかあさん (@KenkoSsyy) 2024年3月22日
えー、ワセリンにステロイド混ぜて保湿するといいって言ってるけどやばくない…???
↑私も投稿したところフォロワーさんから心配のコメントがありました…。
皮膚科医の方が自身の病院のHPにも危険という強い注意喚起をされていました。
↓↓
【マツコの知らない世界】サリチル酸ワセリンを保湿剤として使うことについて
ヤフーニュースにも…!!
こちらの記事にもよるとTBSにも問い合わせが入っているようですが、番組HPを見たところ、下記のようなコメントが発表されていました。
謝罪というよりは放送された内容の補足という印象の内容となっていました。
TBSとしても権威ある皮膚科医の先生がこのように批判されるような情報を伝えるとは思っていなかったのでしょう。
前述した和光みんなの皮膚科のブログにはワセリンとサリチル酸の違いについては下記のような解説が書かれていました。
サリチル酸はもともと、消炎鎮痛薬として開発されましたが、そのまま服用すると胃腸への副作用が大きくなるため、アセチル化した「アスピリン」が使用されることになった歴史的経緯があります。
しかし、サリチル酸には皮膚の角質を柔らかくする作用があるため、足の裏のような硬い皮膚に塗って柔らかくしたり、高濃度の製剤はいぼや魚の目に貼り付けて真っ白に腐食させる、といった使われ方をすることは現在でもあります。
ワセリン(プロペトという商品名のものもあります)は保湿剤として使われることが多いですが、サリチル酸ワセリンはこのような作用があるサリチル酸が混合されていますので、ワセリンとは全く別の作用及び使い方になるとお考えください。
引用元:【マツコの知らない世界】サリチル酸ワセリンを保湿剤として使うことについて
私もワセリンは保湿に使ったことが何度もありましたが、「サリチル酸ワセリン」という薬名は初めて知りました。
★肌の保護、保湿によく使われる白色ワセリンはこちら!
チューブタイプが手が汚れず清潔に使えるので昔は重宝してました~。
サリチル酸ワセリンは保湿には向かないということのようですね。
合わせて保湿にステロイドを混ぜて使う、というのも「かゆみ」に対する処方は疑問が残ります。
ステロイドは本来アトピー性皮膚炎など炎症を抑えるために使うものであり、使い続けると副作用もあります。
ステロイドはアトピー治療には標準治療ではありますが、長年使い続けることでステロイドなしではいられない体になってしまい、
薬をやめると(脱ステロイド)肌がひどい状態(赤みや湿疹など)となる方も…。
私も長年ステロイドを使っていましたが、断薬をしようとしたところひどい副作用(リバウンド)に苦しめられました。
今でも顔の赤みはひどく、体中かゆくて傷だらけですが、できる限りステロイドを使わないコントロールを目指しています。
アトピーで脱ステ経験者としては安易にステロイドを体に塗るのは避けた方がいいと本気で思います。。
マツコの知らない「かゆみの世界」を長年かゆいアトピーの私が見た感想
今回の「かゆみの世界」では今まであまり触れてこなかったかゆみのメカニズムについて深く解説されていたのは興味深く勉強になりました。
かゆみがもたらす巨大な経済的損失の話など、かゆみがいかにつらく、そして私たちの生活に影響を及ぼしているのか、という点も切り込んで頂いたのは画期的だったように思います。
一方で現在炎上しているようにサリチル酸ワセリンとワセリンの混同や保湿にステロイドを使うことに対してはやはり心配です。
また、個人的に強く思ったのは「やはり皮膚科業界はステロイド信仰が強いんだな」ということです。
ゲストの高森先生がかゆみ研究センターという皮膚科業界ではトップの立場の方もステロイドを使うことを推奨するような発言をされているため、
結局「皮膚科はステロイドありきなんだな」というのが改めて浮き彫りになったように思います。
今回の「マツコの知らない世界」はよくNH○などで放送されている医療番組ではなくプライム帯のバラエティ番組です。
世界初の発見をされたという先生をゲストにお迎えし、画期的な情報で視聴者の注目を集めたかったという意図はあるでしょうが、
多くの視聴者がいるため、情報の出し方には慎重になるべきだったのかもしれません。
また、今回の番組はあくまでも皮膚疾患の「アトピー」ではなく「かゆみ」にスポットライトを当てているため、幅広い視聴者をターゲットにしているというのも重要です。
テレビ離れが進んでいるとはいえまだまだテレビの影響力は強く、信じてしまう人が多いので気を付けてほしいですね。
まとめ:「かゆみの世界」は勉強になるが注意すべき点もあり…!
以上マツコの知らない世界で放送された「かゆみの世界」のまとめと毎日かゆみに苦しめられているアトピー当事者の感想を書いてきました。
マツコの知らない「かゆみの世界」ではかゆみ研究センターのセンター長をゲストに迎え、
①かゆみの研究は遅れていた?かゆみ研究の歴史
②かゆみとは何なのか?かゆみのメカニズムを解説
③肌が乾燥するとなぜかゆくなる?
④健康な肌のためには保湿が重要!
⑤あなたのかゆみ対応力は?
という内容が放送されました。
今まであまり解明されてこなかったかゆみについて詳しく解説されたのは興味深く、勉強になる部分もたくさんありました。
一方でx(旧Twitter)などで皮膚科医や患者さんたちから批判が殺到しているように「サリチル酸ワセリン」や「ステロイド」を気軽に保湿に使うのは危険だと感じます。
この放送をきっかけに、かゆみについての周囲の理解や正しくステロイドを使うことが少しでも広まればいいなと思います。
気になる方はTverでの配信もまだ続いていますのでぜひチェックしてみて下さい。
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